青春の風
小さな風が吹くたびに、水面にさざ波が揺れる。
昨日見た海より遥かに綺麗な水。
1レーン分向こうに座る咲良先輩の視線は、プールの水面を見つめていて……。
「昨日、海に行ったんだって?」
静かにそう聞かれて、思わず小さく揺れる水面に視線を向ける。
どう言えばわかってもらえるだろう?
そんなつもりではなかったと……。
「私、ずっと月夜が好きだった」
呟くようにそう言い出す咲良先輩。
「中学に入ってからずっと……」
それは悲しい告白。