青春の風
 
「……私、結構頑張ってるんだけどなぁ」



呟くような言葉はとても寂しそうで。



「月夜に好かれるように頑張ってる。料理だって覚えたし、勉強だって頑張ってる。いつも出来るだけ綺麗でいようとも思ってる……」



理想の女子は、頑張る女子だったのだ。



それは自然にそうだったわけではなく、理想の女子に近づこうと頑張っていた人だったのだ。



青空先輩に好かれようと頑張った結果だったのだ。



それを思うと、本当に胸が痛くなる。



「でも全然駄目、いつも違う人に好かれるばっかり……。肝心の月夜には見向きもされない」
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