青春の風
「彩乃ちゃんじゃなくても、他の誰かだしね」
諦めたような言い方。
「私じゃない他の誰かなのよ。月夜の中に私は入れないから……」
「どうしてなんでしょう?」
思わず聞いてしまう。
だってどうしてこんなに想ってる咲良先輩じゃないの?
これ以上の女の人がいるとでも、思っているのだろうか?
「私が聞きたいけど?」
微かに笑って返されて、変なことを聞いたと反省する。
「ごめんなさい……」
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