青春の風
 
それがそんなところで処置を受けているなんて、なんだか笑えてさえくるというのに。



処置室の前で心配顔の青空先輩のお母さんが、まだ呆然としている私たちに静かに口を開く。



「いつもありがとうございます」



そう言って深々と私たちに頭を下げる、青空先輩のお母さん。



なにがありがとうなのかまったくわからない。



「あの子、いつもあなたたちのこと話してるの。先生にも無理言って青春部なんて部活させてもらって」



少し疲れたように笑うお母さん。



顧問もいない、入部届けもない部活にはそんな理由があったなんて。



それでもまったく理解できない私。
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