青春の風
「それには驚くほどの費用が掛かるのよ。日本では難しいし海外にでも行かないと……」
「でもっ、募金とか集めて、ほらっ、テレビでもやってるじゃないですか」
そう言った私に、青空先輩の優しそうなお母さんが現実を突きつける。
「小さい子供ならね……、でももうあの子は小さな子供じゃないしね。そうそう募金だって集まらないのよ」
そう言いながら、処置室に視線を向ける。
「それにあの子が望んでないの……、家には他にも子供がいてね。あの子は自分のために私たちが動き回るのが嫌だって言うの」
「そんなっ!」
「今に始まったことじゃないのよ? 生まれた時からずっと覚悟して生きてきたの。もう何度もそんなことは話し合って、考えてきたのよ。だからそれはもう……」