青春の風
「私がっ、私がプールになんか落ちなかったらっ! 私のせいですっ……」
そう言って泣き崩れる咲良先輩に、お母さんが優しく言う。
「違うわ、そんなふうに思うのはやめて。それにもしそうでもいいじゃない」
「でもっ! そのせいでっ……」
「あの子、いつも言ってた。どうせ消える命なのに、たいしたことは何も出来ないって。命を掛けても出来ることなんて、なにもないって」
それは海で聞いた話し。
『例え、俺が命を掛けてそれを訴え、行動しても世界は変わらない』
『何だかそう考えると、悲しいよね』
そう言った青空先輩の言葉を思い出す。