青春の風
「泣くな」
「でも……、どうしてっ」
もはや声も出ないほど泣いている私。
「お前が泣いても、月夜さんの病状が変わるわけでもねえ」
そう言うジャージ姿の樹先輩を見ると、その目は少し赤くなっていて。
「私、変な人だとか、そんなことばかり思ってましたっ……」
そう言う私を樹先輩が静かに見下ろす。
「昨日なのにっ……、二人で海を見たんです……。すごく優しくて、普通の人でっ……、デートしようって、初めてだからって……。どうして……」
なにを言ってるのか自分でもよくわからないけれど、とにかく言葉が溢れだす。