青春の風
「遅くなって悪い」
とかなんとか言って、こちらに歩いてくるその姿は本当にいつもと同じに見えて、先ほどの病院でのやり取りが嘘のようにも思えた。
それでも、無理はいけないので日陰で椅子に座ってもらう。
咲良先輩は一度も青空先輩を見ようとしなかった。
「泳げるの?」
海を見ながら青空先輩がそう聞いてくる。
「いえ、まだ冷たいから無理ですよ」
「そうか、残念だね」
何が残念なのかよくわからないでいると、それがわかったのか笑って言う。
「俺、誰かが泳いでるの見るの好きなんだ」