青春の風
 
奈美ちゃんの視線を受ける青空先輩が、顔を逸らす。



もう誰の花火も消えているのに、みんなは最後の花火を持ったままそこに立っていて。



「俺はまだ新入部員ですけど、でも面白い部活だと思います。どうせ帰ってもすることないし、俺もこのまま続けますよ」



3号のその言葉に微かに笑う私が口を開く。



「私もやめません。なにも持ってなかった私に、夢をくれた青春部ですから……」



夢をくれた青春部。



夢をくれた青空先輩。



「ありがとうございます」



「やめろよ……」



そう言う青空先輩の声が微かに震えていて……。
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