青春の風
 
琥太郎先輩のうんざりしたような声に、新入部員の私と奈美ちゃんは唖然としたまま。



「当たり前だ、それを考えないと部活動ができないだろ」



アッサリと言ってのける、青空先輩がやっと椅子から降りてくれる。



くれるってのは、恥ずかしいから。



文芸部の皆さんに、この残念な人と知り合いだと思われるのも恥ずかしい。



いや、そんなこと今さらだけど……。



「あの……、青春らしいとは?」



奈美ちゃんの恐る恐るの質問に、咲良先輩が溜息をつきながら教えてくれる。



「ようは、青春ぽいことよ。青春部って言っても、研究してるとかじゃないしね。青春っぽいことをするのが、部活動なわけ」



なんと安易な。
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