青春の風
そう思いながらも、軽く思いついたことを口にする私。
「青春ぽいって、たとえば土手を夕日に向かって走ると……」
最後の、「走るとか?」まで言わせてもらえなかったのは、樹先輩が私の口を手で塞いだから。
なに?
まるで後ろから抱きしめられているような形になってない?
え?
今ってそんな状況?
完全にパニックになっている私に、後ろから樹先輩が耳元で囁いた。
「殺すぞ」
はいぃ?
低いその声は裏の方の樹先輩。
殺されるの?
どうして?