青春の風
もう、あの人をわかろうとしないほうがいいのかもしれない。
「どうします? 時間までいます?」
琥太郎先輩が、咲良先輩に聞くと少し考えてから笑って答える。
「いいんじゃない? 今日はもう帰ろうか」
「そうだな、せっかくあの人がいねえのに、無駄にここにいたくねえしな」
樹先輩のその一言で、今日は解散となった青春部。
文芸部の方々のホッとした顔を横目に、図書室を出る。
「じゃあまた明日」
爽やかにそう言う咲良先輩が手を振って歩き出す。
「俺らも帰るか」
樹先輩がそう言うので頷く私。