青春の風
 
しかもその表情は子供を愛しむような微笑みで。



なんだか樹先輩の手がとても大きくて大人っぽく思えて。



胸がキュンとなった。



「俺がわかるのに、月夜さんがわからねえわけねえだろ?」



そう言った樹先輩はやっぱりとても大人っぽく見えて、キュンとなった胸が今度はじんわりと切なくなった。



それは私には届かない人みたいに思えて。



事実届かないなんだけど、なんだか私なんかまったく相手されてないと知って。



そう思うと切なく悲しくなった。



「どうして青空先輩はそんなことを? わかってるのにどうして……」



何だか急に顔があげられなくなった私は俯いたまま聞く。
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