ラブ☆バカリズム


「大丈夫だった? ゴメンね?」


 あまり話した事のないギャル系の女の子があたしに話しかけてきた。あたしに謝るって事はきっと肩を押した張本人なのかな。

 けど不思議。この子はいつも、ちょっとぶつかっただけじゃ気にしないような子だったはずだけど。そんなに痛そうだったのかな。


「あたしが怪我させちゃったんだから、あたしが連れてくよ」


 女の子はあたしを掴む沙希の腕を引き離しながらそう言った。そんな気にするほどの事じゃないのになァ。ニコニコとする女の子とは対象的に、引き離された沙希は眉をしかめている。


「何すんの? あんたは体育やってていいから。未緒は親友のあたしが保健室に連れて行く」


 沙希は冷めた顔でそう言った。すると、遠くにいた女の子達が騒ぎだして、何故かこちらに向かって走ってきた。


「保健室行くんでしょ!? 私が連れてってあげる!」

「あたし!」

「私が!」

「えーと……」


 怪我しているあたしをよそに、みんなで何やら言い争っている。話した事もないのに、あたしを保健室に連れていきたいのか……。そんなに体育をサボりたいのかな?


< 3 / 12 >

この作品をシェア

pagetop