ラブ☆バカリズム
女の子ってなんで教師に憧れるんだろう。恋する気持ちとかわからないけど、先生に憧れる気持ちはもっとわからない。楽しそうだからいいけどね。
「怪我した時くらいしか話せないもん」
そう言う沙希の顔はニヤニヤと口が緩みきっている。
「なら、わざと怪我すればいいじゃん」
「それがダメなのよね。薫先生にはわかっちゃうみたいで」
沙希は肩を落としてそう答えた。実際に試したのか。そこまでして話したい先生ってどんな人なんだろう。ここまでくるとさすがにちょっと気になる。
「寺脇先生ってそんなにカッコイイの?」
「カッコイイし、可愛いし、面白いし、優しいし、紳士だし、真面目だし、爽やかだし、男気溢れてるし……」
沙希はそう言いながら指を折って数えている。ここまでくるともうわからないよ。想像もつかない。
「未緒は転校してきたばっかで先生を知らないのかー。未緒も絶対惚れるよ?」
そう言いながら沙希はあたしの頬をツンツンと突いてくる。
あたしはここに転校してから一ヶ月経ってない。仲良くしてくれる沙希やクラスメートのおかげでだいたい馴染めたつもりだけど、学校について詳しくは知らないんだよね。だから寺脇先生の事も名前は聞くけど、見た事はなかった。