空にいる君へ
はじまり

出逢い




一ノ瀬実紅。
父子家庭で、どこにでもいるような中2の女の子。
顔も性格も、どこか大人びた少女の実紅は、ある掲示板で…彼に出逢う。


【死にたい】


そう書かれたタイトルを、実紅は何気なくクリックし…コメントを見ていた。

【学校でいじめられ、リスカもODもした。飛び降りもした。もう死にたい。どうすれば死ねるん?俺は死んだほうがええんか?】

死に方を求める彼に、コメントが殺到していた。
【死んだらダメだよ。みんなが悲しむ。】
【ダメだよ。私が話し相手になるから、何でも言って】
決められた言葉のような…死を止める者がほとんどで、実紅は溜息をついた。


…くだらない。
死ぬか生きるかを、他人に求めるなんて。
大体、死に方なんて聞かなくてもいくらでもあるじゃない。


実紅はPCを閉じようと思ったが…いくらくだらなくても、このまま放っておくこともできずにいた。
彼の話が嘘だろうが本当だろうがわからないが、本当だとしたら…後味が悪い・


【死ぬか生きるかを他人に聞くなんて間違ってると思います。それに、死に方なんて考えなくても思いつくだろうし、調べればたくさん出てきますよ。
でも、ひとつだけ言っておきますけど、死んでも何も変わらないですよ。死んだら死んで…きっと苦しむと思います。それに、消えてしまっても今まで得た想いは永遠に残るんだし。消えてしまったら元も子もないっていうか…やり直しなんて効かないじゃないですか。生きていれば、変わるチャンスはいつかきっと訪れる。私はそう思います。生きるか死ぬか、決めるのはあなただけれど、私は生きたほうが得なんじゃないかと思いますよ。
まぁ、第三者なら何とでも言えるんですけどね】


何気なく思ったことを投稿した実紅。
読んだ彼はなんと思ったのか…実紅に対して返事を書いてきた。


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