カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜
「俺や店長の作るオレンジ・ブロッサムよりも由依さんが作った方が断然おいしかったよ。」


「由依さん?」


「そう、杉浦由依さん。そのオレンジ・ブロッサムの栞の持ち主で、BAR COCOROの前の店長。‥康介さんの恋人だった人。」


‥康介さんの恋人‥だった人。


「二宮、大丈夫か?‥話、続けてもいいか?」


思わず持っていたグラスを落としそうになったところを、サトシくんが受け止めてくれた。


「‥ゴメン!だ、大丈夫だよ。話を続けて?」


私の作り笑いを見抜いたのか、サトシくんは小さくため息をついた。


そして、遠くを見つめて悲しそうな顔をした。


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