カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜
「‥そんな。」


私はあまりのショックに言葉を失った。


「あのとき、俺が店に残っていれば由依さんは‥。」


「‥病院に俺と康介さんが駆け付けた時には、もうほとんど話せる状態じゃなくて。」


サトシくんの肩が悔しそうに震えた。


「由依さんは、婚約したり、結婚した客には、必ずオレンジ・ブロッサムをサービスしてたんだ。」


「‥由依さんしかレシピを知らない、特別なオレンジ・ブロッサムをな。」


‥ポロポロっと私の頬を涙が流れた。

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