カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜
「今おじいさんは‥?」


美咲が私の方を見て言った。


「私が高校生のときに病気で‥。お店はまだ残ってるんだけどね。」


「自分もパティシエになりたいとか思わなかったのか?」


サトシくんが腕を組ながら真面目な顔をして言った。


「おじいちゃんが生きていた頃はそう思ってたんだけど‥。」


おじいちゃんがいない空っぽの店‥。


それを見るのがあまりにもつらくて、私は夢を諦めた。


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