カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜
そのあと私たちはお店を出て、私のお気に入りの服屋さんや雑貨屋さんを見て歩いた。


康介さんはずっとニコニコしてて、「これも買ったら?」「似合ってるよ」と声を掛けてくれる。


おかげで私の荷物はどんどん増えてしまった。


「‥すみません。久しぶりのお買い物で嬉しくて‥。」


私は両手に荷物を持ってくれている康介さんを見て、心から申し訳なく思った。

「大丈夫、大丈夫。女の子って本当にお買い物好きだよね。」


康介さんがふと遠くを見つめて微笑んだ。


「‥あの人の荷物係りもよくやらされたなぁ‥。」


‥え?


そう呟いた康介さんは、懐かしそうに、少し寂しそうに見えた。
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