不幸者は名前を望む。


わたしは、いつもそうだ。
いつも、そう。

周りにいる人間を不幸にしていく。
ただ、そばにいて、普通に暮らして普通に過ごせればよかったのに。


周りの人間は死んでいった。
いつしか皆はわたしを“疫病神”と呼ぶようになった。

今、わたしの下で死にかかってるコイツ以外は。


せっかく出来た居場所を、わたしはまたわたし自身のせいで失うことになった。

わたしは、やっぱり―――



「君は、疫病神なんかじゃないよ。僕にとっては」


「だったらお前の名前くれ。ちょーだい」


わたしは馬鹿だったのか。
何を言ってる、わたし。馬鹿のわたし。

馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿。


「うん。いいよ」
コイツも、大馬鹿野郎。

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