淡いコイゴコロ
右も左も田んぼばっかりの道を悠と私はゆっくり歩く。
「明日から夏休みだよ、悠!また去年みたいにみんなでどっか行きたいね」
「そーだね」
「ちょっと、ちゃんと聞いてよ!」
「聞いてますー。結衣はテンション高すぎ」
「悠テンション低すぎ」
「ねー、結衣さん」
「なんでしょう」
「あちーからさぁ、かき氷食べよ」
────────
「普通…男が奢るもんでしょ?」
「そーなの?ま、いーじゃん。ほら、ブルーハワイ派の結衣さんにイチゴ味をプレゼントー!ほら、あーん」
「……………」
近くのかき氷屋さんでかき氷を買ってあげたら、
悠はめちゃくちゃ喜んでくれた。
何かお願いするときは決まって私を結衣さん、って呼ぶ。
もう昔から。
結局負ける私もどうかと思うけど…
いいよ、悠が嬉しいなら。
私も嬉しいから。
「ほら結衣、あーんして?」
「……………あーん」
「あはは、美味しいっしょ?」
「美味しい」