淡いコイゴコロ
──ピンポーン

チャイムが鳴って、時計を確認するとちょうど17時

「結衣ー!悠くん来たわよー」
「はっ…はーい!」

身だしなみの最終チェックをして玄関に向かうと悠が携帯を扱いながら立っていた。

「あ、悠待たせてごめんね」

悠は一瞬こっちを見て、すぐ目をそらした。
「いや別にそんな待ってないから…大丈夫」

「そっか…じゃ、行こ!」



外に出るとなんだか恥ずかしくなってきた。
もしかしたら私と悠が恋人に見える人が居るかもしれない。

いや、それは嬉しいけど、なんか、いつも以上にそういう事を意識してしまって恥ずかしい。


「結衣が浴衣ってなんか珍しいね」

ゆっくりゆっくり歩いて行く途中で突然悠が話を切り出してきた。

「小学生以来なんだよね、着たの。へへ、似合ってる?」

「うーん…………微妙?」


「おいっそこは似合ってるって言ってよ」

「似合ってる」

「えっ………」

「結衣が言えっつったんでしょ。なんで唖然としてんの?」

「いや、素直に言うと思わなくて、ね?」


正直、びっくりした。
絶対に悠は冗談でもそんなこと言ってくれないと思ってたから。
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