言葉にならないコトバを
たいちゃん…。
たいちゃんは悲しい瞳であたしを見ていた。
やめて
そんな目で見ないでよ
悲しい悲しい瞳のまま
たいちゃんは自分ちのほうに走り出した。
ドンッ
気づいたらあたしは長野くんを突き飛ばしていた。
「……新井?」
「長野くん。ごめんなさい」
あたしは長野くんに頭を下げて
走り出した。
「新井!新井!」
後ろで長野くんの声がした。
だけどあたしは振り向かないで前だけを見ながら走った。
想っているのは
たいちゃんのことだけだ。