言葉にならないコトバを



「う…うん」




あたしとたいちゃんは



幼なじみ





友達以上だけど恋人ではない。



あたしたちはずっとずっーと一緒にいた。




産まれててからこの15年間。


たいちゃんと離れた事なんかなかったし…。



だからだんだんたいちゃんの大切さが分からなくなってくるんだ。




「なあ?千佳?」



「ふぇっ?」



考え事をしていたあたしは間抜けな声を出してしまった。



「変な声」


たいちゃんはそう言って馬鹿にしているように笑った。




「ひっどーい」


たいちゃんの肩を殴ろうとした時、不意にたいちゃんの手にとめられた。




前は全然小さかった手も

あたしより低かった背も

女の子みたいに高かった声も



今のたいちゃんにはない。


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