どこまでも、蒼く
鏡に写った自分の姿をじっと見つめる。
そして昔、複数の女から言われた言葉を思い出した。
それは惚れた理由。
『どこに惚れた?』と尋ねたら、『かっこいいから』と、単純な答えが返ってきた。
かっこいいから好きになって付き合って欲しいと思ったのか?
中身なんて端から見ていなくて、ただ自分が優越感に浸りたいだけだろ?
そういう部分が分からないのだ。
世間にいる恋人達に聞いてみたい。
『幸せはなんですか?』と。
俺はまだ知らないんだ。いや、出逢っていないのだ。
心から愛する人に─…。
髪の毛を整え、歯を磨いていく。
口の中はたちまちミントの香りに広がっていく。
この頃になると、学校に行きたくない度が増え始める。
『めんどくさ…』
学校を無断で休もうとしても慶汰から電話がかかってくるし、すばるからもしつこく連絡が来るし、俺は逃げられないのだ。