どこまでも、蒼く


千夏は間違いなく俺を好きなのだろう。
でも俺は…。

認めたくなかった。
だけど認めるよ。


俺は陽菜が好きだ。


だって…。
陽菜に会いたいと思っている。
千夏に抱きしめられた時も、ずっと陽菜のことを考えていたし…

これが恋?


味わったことないよ。

なに、この気持ち。


ふと、顔を上げると、そこにはまだ曇ったままの空があった。
太陽はいつ顔を出してくれる?
怒っているのかな?

もし、俺に自由に飛べる羽があるのなら…。
俺は真っ先にお前のもとではなくて、空に向かい、この雲を切り裂くのに。
そしたら…また晴れになって…、お前は喜んでくれるだろ?


この時、俺は気がつかなかった。
ひとつ欠点があること。

なんで真っ先に好きな人の場所に向かわない?


ここだ。俺の欠点。


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