どこまでも、蒼く


…冷静さを取り戻すために、賑わしい繁華街を歩いていた俺。
この時間に制服姿の学生がいたら不思議がられるのは承知の上。
さっきから振り返られるのが分かる。
だけど他人。
俺はそんな視線を無視していた。


ふと横を見ると、そこには大型の書店があった。俺はなぜか立ち止まり、吸い込まれるかのようにその書店の中へと入っていく。


自動ドアが反応をし、俺を中へと案内をする。

特に見るものもないが、なぜか立ち寄ってしまったのだ。

でもこの行動はちょっとした運命だったのかもしれない。


俺の足は写真集の置いてある場所に向かっていた。
なぜかって?

それは陽菜が好きな写真家の写真集を見るため。

『確か、坂井雅だったっけ?』


小さく独り言を呟く俺。この時にはもう、苛立ちは無くなっていた。


写真集コーナーへたどり着くと、そこには何かに悩む、セーラー服姿の…

陽菜がいた。



< 121 / 329 >

この作品をシェア

pagetop