どこまでも、蒼く
頭が、回らない。
正直、嘘だと思ってしまう。
確かに大きな瞳は陽菜にそっくりだ。
でもこれが陽菜の双子の弟?
今日はエイプリルフールじゃないよな?
うん。違う。
今の季節は秋だ。
もう落ち着いて物も考えられない。
このまま倒れそうだ。
『てゆかお前こそ誰だよ?』
弟の紘人の言葉で、ストップしていた頭が働き出す。
その言葉に嫌みのようなものはなく、紘人を見ると相変わらず眩しい笑顔を俺に向けている。
きっとこいつの性格は腐っていないに違いない。
『あ…俺?俺は佐伯嵐』
『…で?陽菜との関係は?』
表情をひとつ変えずに言葉を並べていく紘人。
この笑顔の裏側には何が隠れているのだろうか?
今はまだ知らない。
二人に隠された、秘密を─…。
『ただのクラスメート。別に変な関係じゃねぇし』
視線を下へと下ろすと、そこには俺を見つめる陽菜がいる。
俺は陽菜を見て小さく微笑んだ。