どこまでも、蒼く


そんなことされては困る。
陽菜と出逢ってまだ片手で数えられる程度だけれど、気持ちは膨らむ一方。
一度膨らんだ気持ちがなくなるのは時間がかかる。
むしろ、無くなることはないだろう。
ずっと心の片隅で生き続けるのだ。
道路の隅に咲く、小さな雑草のように。

強く、負けないように。


『明日陽菜に聞いてみる。俺そろそろ帰るわ。なんか疲れたし』


俺はすばると馨に手を振って、夜のコンビニから去って行った。

今日のことを振り返りながら歩いていく。
そして帰りたくもない家へと帰って行くのだ。
帰ったら帰ったでまた慶汰になにか言われるのだろう。

そんなの、上等。


『…陽菜と紘人…か』


寂しそうに浮かぶ月に向かって言葉をかけてあげる。
きっと話し相手が欲しいんだよね。


俺で良かったら相手をしてあげるよ。


今陽菜はなにをしているのだろう?



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