どこまでも、蒼く


どうして真っ直ぐに進まないのだろう。
なぜわざわざ遠回りをするのだろう…。

恋─…。
ただ一文字に苦しめられる人間たち。

勇気─…。
ただこれだけが欲しいのに上手く手に入れられない人間たち。


辛くて、苦しくて、
諦めた恋をひどく後悔をする人間もいる。

立ち向かっていけば涙を流すことはなかったかもしれないのに…

涙を流して諦めた恋を、誰もが持っている。

俺はまだ経験は浅い。
というか本気になった恋がない。
今、今なのだ。

俺の本気の恋は…。


紘人の言った言葉の意味を必死に考えるけれど、頭は働いてはくれない。
一体陽菜は誰に会いたいのだろう。


ねぇ、お前はもしかして、誰に会うためにここに来たの?


…この時だった。
初めて陽菜に対しての不信感を抱いたのは…。


この日、ずっとそのことを考えていた。

空を眺めながら。


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