どこまでも、蒼く
千夏はこう言って猛スピードで教室から出て行った。
手には夏休みの課題であろう、数学のプリントを持って。
『なんだよ…』
折角憂鬱さを隠して笑顔を振り撒いたつもりなのに。
小さな愚痴を吐いて一人で校門へと行く。
夕方の学校は好き。
なんか落ち着くし…
それにオレンジ色が好きだから。
単純な理由だけど、
それで十分だと思う。
下駄箱の錆びたロッカーを開けると、今日も入っていた。
それは愛の手紙。
今日は2枚。
そろそろやめて欲しいと思いながら、それを持って、ローファーを取り出した。
『嵐はモテモテだな』
『は!?』
すると後ろから怪しい声が聞こえてきた。
とっさに振り返る俺。
そこには八重歯をちらっと見せて笑う、紘人が立っていた。
俺と同じくらいの身長の紘人。
目線は紘人の瞳に向けられる。
てっきり帰ったのかと思っていた。