どこまでも、蒼く
消えて欲しいけど、消えてはくれないみたいなんだ。
俺はもらった手紙をぎゅっと握りしめて、少しだけ勇気を振り絞る。
『紘人、陽菜はなんで転校してきたんだ?』
今日の秋風は冷たい。
もう冬が近づいているからなのか。
そんな空気が俺たちの間をすり抜けていく。
すると紘人から笑顔は消えて、真剣な顔と変わった。
『それを聞いてどうする?』
『別に…ただ気になっただけ』
『俺がもし理由を話したら、陽菜に対する愛情は消えるのか?』
真剣な瞳。
そんな瞳で見つめられたら誰だって言葉を失うだろう。
まさにそんな感じだ。
頭の中から次の言葉を探すが、なかなか言葉が出てこない。
『…消えないだろ?消えないなら聞かない方がいいと思うけど。お前が苦しくなるだけだ』
『…そんな言えない理由なのか?』
…陽菜は、なぜここにやってきたの─…?