どこまでも、蒼く


すると紘人は俺の方に体を向けて、片手を俺に向けて広げてきた。
その行動に疑問を抱く。


『…この血がなければ良かったのに…』



こう言って大きな瞳から涙を一粒零した。
そんな紘人は、まるで誰かに恋をしているようで…俺にそっくりだった。

きっと…その相手は…。


『紘人…』


急に泣き出す紘人を見た俺は、力が抜けてしまったのか握っていた手紙をひらりと落とした。
2枚の手紙は、ゆっくりと落ちていき、地面へと体を休めた。
重なった2枚の手紙。
その形は、ハートのようだった─…。


涙を流す人は、
どうしてこんなにも綺麗なのだろうと思った。


紘人の頬を伝う一筋の涙。
その涙は太陽の光に反射して、オレンジ色に染まっていた。


『…悪い。でもずっと思ってた。この血さえなければ…自由になれたはずなのに…』



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