どこまでも、蒼く
だって誰もが意味が分からないと嘆くことだろ?
なんで陽菜の生徒手帳から慶汰の切り抜きが出てくるんだよ。
あの切り抜きの慶汰は今より少しだけ幼い。
きっとモデルをしていたときのだ。
カメラ目線で笑う慶汰の顔が脳裏に焼き付いて離れてはくれない。
…助けてよ。
体中がこう叫んでいる。一番訴えているのは心だ。
分かってる。
助けてやりたいけど…
ごめん…。
今は無理なようだ。
暗闇の中で混乱する。
慶汰は俺のことを見捨てたのか、まだ怒っているのか、理由は分からないが、『学校へ行け』と世話を言ってこなくなった。
これ好都合だ。
だってもし今慶汰に会ったら、俺は理性を飛ばし慶汰の顔面を殴るはずだから。
ゆっくりと手を伸ばし、陽菜の生徒手帳を取る。まだひとつの汚れもない、真新しい生徒手帳。
お前の名前。
そして中を開ければ、
慶汰の切り抜き。
お前は何をしにここへ来たの?