どこまでも、蒼く


外に出ると、新鮮な空気があちらこちらにある。久しぶりに新鮮な空気を吸ったかもしれない。

ずっと、外にすら出ていなかったから。


大きく伸びをすると、なまっていた体が気持ちよさそうに伸びていく。


『…よし…』


気合いを入れたら準備完了。
そして出発。
目的地、不明。
所持金、なし。


別にこれだけでもいいと思う。
体さえあればどこまででも行ける気がするんだ。

すっかり雨は止んだのか、道端には傘がさいていない。
やっぱり雨のあとの空気は冷たくて、ダウンがいい役目を果たしている。


…ただひたすら歩く俺。いつの間にか、繁華街を過ぎて、落ち着いた住宅街へと入っていく。
雨雲で隠れているのか、今日は月が見られない。


まるで行き先を無くした、俺のようだった─…。


そして俺はある場所へとたどり着いてしまった。


そこには、あいつがいた。


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