どこまでも、蒼く


久しぶり…なのか…。
それすら分からない。
なぜならば、俺の頭が水曜日からストップしているから。


そいつは公園のベンチの上に立ち座りをして、ぼんやりと空を眺めていた。
その横顔が街灯に照らされていて余計綺麗さを際立たせる。



『…紘人…』


俺はそいつを遠くから見つめ、小さくこう呟いた。

そいつとは紘人だった。なぜこんなところに?
そして悲しい瞳。
なんでそんな悲しそうなんだよ…


頭に浮かぶ、紘人の涙。あの涙の意味は一体?


《この血さえなければ自由になれたのに》


涙を流しながらこう言った紘人。



お前が抱えるものは…
何ですか?



一歩、一歩、紘人に近づく俺。
雨で歪んだ土の上を歩いていく。


そして紘人が俺の存在に気がつき、目を丸くさせた。


『…あ…らし?』


『久しぶりだな、紘人』



< 160 / 329 >

この作品をシェア

pagetop