どこまでも、蒼く


俺が泣いたこと秘密な。涙は流れなかったけど、視界が歪んだんだ。
それはきっと、涙で。

俺の存在が少しだけ認められたから。
俺はずっと気にしてたんだ。
それは自分の存在価値。
慶汰がいたから、俺の存在価値は慶汰で消されて、自分は何なのだろうってずっと思ってきた。

けど少しだけ、この世界に認められた気がするよ。

俺は生きている。
この回る球体の中で、ちゃんと息をしている。


俺の存在はちゃんと…ある。



『さんきゅ、すばる。俺行ってくるわ』


すばるを少しだけ見下ろして、俺はこう言った。すばるは涙を浮かべた瞳で俺を見て、八重歯をちらりと見せて笑う。


『おう。行ってこい!』

すばるの手が俺の肩に置かれる。
俺の中のスイッチが入った瞬間だった。

そして俺はくるりと後ろを向いて、歩き出す。


お前に会いに。
お前に伝えに。


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