どこまでも、蒼く
この言葉を聞いた俺は、固まってなにも話せないでいた。
手に滲んでいた汗が、乾いていく。
風が、俺たちの間を何も知らないまま吹き抜けていった。
そして残していく。
どんよりと思い空気を。
『…そうだよ』
俺は嘘をこれ以上つきたくなかった。
今なら分かるから。
千夏が俺を好きでいてくれるように、俺が陽菜を好きという気持ちが。
好きという気持ちは、
みんな一緒だから…。
『嵐…言ったじゃない。好きにならないって…あれは嘘だったの?』
確かに俺は陽菜が転校してきた時に不安になる千夏に『好きにならない』って言った。
けどその時はちゃんと自信があったんだ。
好きにならないって。
『あの時の言葉は嘘じゃないよ。…けど、ごめん。千夏にも分かるはずだ。好きって突然やって来るものだって』
千夏なら分かるよな?
好きって気持ちは、何の前触れもなくやって来るものだって…。