どこまでも、蒼く
いつの間にか好きになってて、いつの間にかかけがえのないものになっていて…
それに悩んだり、
それに笑ったり、
忙しいけどそれが幸せだって…
分かるよな?
『分かるよ…あたしはずっと嵐を見てたから…。あたし不安だったもん…。嵐は陽菜が好きなんでしょ…?』
千夏の瞳から大粒の涙が流れる。
今の千夏はテレビの中で泣く女優よりも、綺麗だった。
守れなくて、ごめん。
好きになれなくて、ごめんな。
急に息が苦しくなる。
千夏の表情を見ていたら、なんだか苦しくなった。
でも素直な気持ちを言わなくちゃ…。
『俺は陽菜が好きだ…。』
廊下に響き渡る、俺の声。
小さな声で言ったつもりなのに、静かすぎるのか、その声が広がっていく。
『…そっか…。諦めるしか…ないね。だって陽菜はいい子だし、優しいし…可愛いし…。だから恨めないや…』
手で涙を拭う千夏。
俺には抱きしめてやる力も存在しない。