どこまでも、蒼く
本当に人間は単純なんだなって思う。
嬉しいときは笑顔を零して、
泣きたいときは涙を流して。
人間は単純に出来ている。
『陽菜、嵐が描く絵に惚れちゃいました!嵐には才能がありますね。また描いてください!』
頬を赤く染めて無邪気に笑う陽菜を、可愛いと思ってしまう。
なぁ、陽菜…
もしこの時お前が俺の背中を押してくれなかったら、今の俺は存在しなかったと思う─…。
『…いつか陽菜のために描いてやるよ…』
いつか、必ず。
けど俺はなかなかお前のために鉛筆を動かすことが出来なかった。
陽菜は満面な笑みを浮かべて、空を見上げる。
俺もつられて空を見上げる。
『陽菜、本当は覚えてるんだ。嵐と初めてあったとき…嵐はすごい不機嫌でしたね…』
それは陽菜が転校してくる前日のこと。
確かに俺は陽菜を見て《変人》だと思った。
それといきなり変なことを言われて、不機嫌だったしね。