どこまでも、蒼く

後ろから陽菜の声が聞こえてきた。
俺はその声に反応をして、振り返る。


すると俺は夕日より明るい光に包まれる。

そう、それはカメラのフラッシュ。

突然のことでワケが分からなくなって硬直する俺。


『え?』



『言ったでしょ?陽菜は嵐を撮りたいって…』


カメラをこちらに向けて、陽菜は言う。
カメラのレンズから顔をちらりと見せて、少し照れた表情を浮かべる。


『…高いよ?』


『知ってる…』



ふざけ合う時間も必要だ。
毎日毎日愛を確かめ合うことも必要だけれど、心の底から笑うことも大切だ。


お前もそう思うだろ?


陽菜は俺にカメラを向けて、俺ばかりを撮っていく。


この時の自分の顔は、どうしても思い出せない。海に夢中だったからかな?




『嵐、空と海ってどんな関係か知ってますか?』



あなたには分かりますか?


俺はお前に言われて気づいたんだ。


空と海は愛し合っている。



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