どこまでも、蒼く
ふざけ合った冗談を、
俺は本気になんかしていなかった。
20歳なんて若すぎるし、夢に向かっている途中だと思っていたから。
陽菜は写真家にもなりたくて、それと同じくらい大きな夢がもうひとつある。
それは《お母さん》
小さな体で一生懸命、お母さんになりたいお前がいた。
俺はちゃんと見ていたよ。
『産めるよ!沢山欲しいんだ!』
『それは…誰との子供?』
陽菜の体を離して、真剣な瞳を彼女に向ける。
陽菜は、下を向いて、なにかを考えて、再び俺の瞳を見た。
そして静かに言った。
『嵐との子供…』
その瞬間、泣きたくなるくらい嬉しかったんだ。もうこのままいなくなってもいいと思ったんだ。
俺はもう一度、陽菜を強く、強く─…抱きしめた。
離したくないよ…。
この温もり、消えないで。
辺りが真っ暗になる。
夜の訪れだ。
『嵐、観覧車に乗りませんか…?』