どこまでも、蒼く


陽菜がいつも言うことは突然すぎて、時々頭が回らなくなる。

今もそうだ。
なぜ陽菜は観覧車になんか乗りたくなったのだろう?
そもそも、観覧車なんてあるのか?


『観覧車?』


首を傾げて陽菜に聞く。すると陽菜はある場所を指差した。
俺は陽菜の指差す方向へと顔を向ける。


そこには色とりどりの光を放つ、大きな観覧車があったんだ。
自分の瞳まで、その色に染まっていく。


まさかこんなところに観覧車なんかあるなんて知らなかった。

空が暗いせいか、観覧車から放たれる光がとても綺麗だ。


月なんかよりも、星なんかよりも…。


ごくん…と生唾を飲む俺。


そして最高の笑顔を陽菜に向けてこう言った。



『早く行こうぜ!』



陽菜の手を引っ張る俺。置いていた靴と靴下を手に持って、浜辺を駆け走る。


うまく走れないけれど、俺は無我夢中になって走っていた。



< 245 / 329 >

この作品をシェア

pagetop