どこまでも、蒼く
陽菜がいつも言うことは突然すぎて、時々頭が回らなくなる。
今もそうだ。
なぜ陽菜は観覧車になんか乗りたくなったのだろう?
そもそも、観覧車なんてあるのか?
『観覧車?』
首を傾げて陽菜に聞く。すると陽菜はある場所を指差した。
俺は陽菜の指差す方向へと顔を向ける。
そこには色とりどりの光を放つ、大きな観覧車があったんだ。
自分の瞳まで、その色に染まっていく。
まさかこんなところに観覧車なんかあるなんて知らなかった。
空が暗いせいか、観覧車から放たれる光がとても綺麗だ。
月なんかよりも、星なんかよりも…。
ごくん…と生唾を飲む俺。
そして最高の笑顔を陽菜に向けてこう言った。
『早く行こうぜ!』
陽菜の手を引っ張る俺。置いていた靴と靴下を手に持って、浜辺を駆け走る。
うまく走れないけれど、俺は無我夢中になって走っていた。