どこまでも、蒼く


だって俺は観覧車に乗ったことがないから。

遊園地には遠足などで何回か行ったことはあるけれど、その時は観覧車に興味などなかった。

理由?
そんなの簡単だよ。

下を眺めてなにが楽しいの?って思っていたから。

それに一周10分以上ある乗り物に乗る意味が分からなかったから。


だから、好きじゃなかった。
だから、乗ったことがなかった。


けど今の俺は、彼女の手を引いて駆け出している。

どうしてだろう─…?


それは陽菜だからかな…。


『嵐、早いよー!』



後ろでは息を切らす陽菜がいる。


ねぇ、陽菜…

お前はこの観覧車のことを覚えていますか…?


月より、星より、
綺麗に輝く蛍光灯を。


俺は覚えている。


どんな光より、
この光が一番綺麗だと思うんだ。


もちろん太陽に反射する海の光も綺麗だと思うよ。


けど、夜になると人を感動させるこいつも綺麗すぎると思うんだ。


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