どこまでも、蒼く
浜辺を出た俺たちは、足についた砂を祓い落とし、靴を履く。
暗くなった歩道には人気がないに等しい。
ぽつんと街を照らす街灯がとても寂しそうだった。
錯覚かもしれないけど、背中を丸めて泣いているようにも見えた。
光り輝く観覧車がある場所へと目指す俺たち。
仲良く手を繋いで、時には鼻歌なんか歌ったりして…。
こんなことを、すばるや馨や紘人なんかに言ったらきっと同じ答えが返ってくるだろう。
《バカじゃない?》ってね。
観覧車に近づくにつれ、さっきまで人気すらなかった歩道に、沢山の人影が現れる。
その人たちは俺たちのように手を握って、笑みを零していた。
この人たちも観覧車へと向かっているのだろう。
今、観覧車に向かう人たちは幸せで溢れているに違いない。
俺もその仲間だ。
幸せすぎて、怖いくらいだ。
怖い、くらい…。