どこまでも、蒼く


『おはよ!嵐!今日もかっこいいね!』


すると一人の女生徒が甘い声で俺に近づいてきた。
こいつの名前は葉山千夏《はやま ちか》
くるくるに巻かれた髪の毛は、気持ちよさそうに弾んでいる。
前髪から覗く、茶色の瞳はきっとカラーコンタクトのせいだろう。

噂で聞いたのだが、千夏は俺のことを好きらしい。
だから毎日こうやって挨拶をしてくるようだ。

でも俺は嫌ではない。
俺のことを好きな女は大好きだ。
愛はないけれど。

な?最低だろ?



俺より低い身長の千夏を見下ろして、挨拶を返した。


『…おはよ。今日も千夏は元気だな』


俺の席は窓側の一番後ろ。
心地よい日差しがあたる、最高の場所だ。

そして俺の席の前は馨。馨の隣はすばるだ。

俺の隣は…空席。


いない方がいいけど。


でも、あと少ししたら、この空席はお前の席に変わった─…。



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