どこまでも、蒼く
料金を払って、スタッフに誘導されるのを待っていた。
『どうぞ!観覧車の中で愛を深めてくださいね!』
満面の笑みを俺たちに向けて言うスタッフ。
この言葉もマニュアルで決められた言葉なのだろう。
だけど妙に嬉しかった。
カップルだと認められた感じ。
硬直する二人。
陽菜は今なにを考えているのだろう?
俺みたいに変なことを考えていないかな?
俺が考えていること。
それは笑ってしまうくらい恥ずかしいこと。
今から俺は陽菜と密室で二人きりになる。
…どうしろって?
どうしたらいいんだよ。
観覧車も初めてで、
陽菜と二人きりになるのも初めてだぞ?
この心臓保つのかよ…。
『嵐、乗ろ?』
扉を開けてゆっくりと進む観覧車。
佐伯嵐。
覚悟を決めます。