どこまでも、蒼く
窓から外を眺めると、そこには夜の海が広がっている。
三日月が海に映り、海が笑っているように見えた。
滲む汗…。
苦しい胸…。
目の前には外を眺める陽菜がいる。
『…綺麗だね。陽菜初めて…』
『え?初めて?』
『うん。こんな綺麗な景色見たことがない…』
こう言って瞳を輝かせるから、俺も見たくなった。
俺が眺めていた逆の方へと顔を傾けると、そこには、今まで見たことのないくらい、綺麗な夜景が広がっていた。
いつも思っていた、眩しすぎる街灯や、店のスポットライトが、今では綺麗だと思う。
こういう見方があるんだ…。
俺は知らなかった。
見方を変えれば、嫌だったものが嫌ではなくなるということを…。
『綺麗だね…』
この先、これ以上の夜景には出会えないと思う。
ゆっくりと、
ゆっくりと、
同じ速度で、観覧車は天に近づいていく。