どこまでも、蒼く
─…陽菜のキスを奪ってはくれませんか?…─
広がっていく言葉。
俺の耳にもすぐ入ってきた。
そして心臓は高鳴り続ける。
早く反応したいのに、反応出来なくて、みるみるうちに陽菜の表情が曇っていく。
そしてもう少しで頂上へと辿り着いてしまう。
『…ひ…な…』
目を見開いて、陽菜を見ると、陽菜は下を向いたまま再び言葉を並べた。
『思い出が欲しくて…。ここでキスをしたらきって思い出に残ると思うの』
小さな声でこう言う陽菜が必死そうに見えた。
そんな頑張らなくてもいいのに…。
それにさっきの言葉、嘘じゃないよな?
ファーストキスってこと。
もしキスが初めてだったら、俺なんかでいいの?って思う。
何度もキスをしようとしかけた俺だけど、今更何で怖じ気づいているのかが謎だ。
確認をする。
陽菜に…
『俺が初めてでいいの?』